パランティアの決算が出たとき、最初にどこを見ればいいのか。多くの人は総売上やEPSに目が行きますが、それだけでは「成長が本物か」は判断できません。
この章では、決算発表のたびに自分でチェックできる5つの読みどころを整理します。ここを押さえれば、ニュースの見出しに振り回されず、数字から実態をつかめるようになります。
まず見るのは「民間 vs 政府」の成長率

パランティアの売上は、米国の民間部門と政府部門の二つからできています。最初に見るべきは、この民間部門の成長率です。
かつて「政府頼みの会社」と見られていたパランティアですが、いま爆発的に伸びているのは民間です。成長率の推移を並べると、加速がはっきり分かります。
| 四半期 | 米民間部門 | 政府部門 |
|---|---|---|
| 2025年 Q1 | +71% | — |
| 2025年 Q2 | +93% | +53% |
| 2025年 Q3 | +121% | +52% |
| 2025年 Q4 | +137% | +66% |
| 2026年 Q1 | +133% | +84% |
政府で信頼を担保し、その実績を土台に民間を伸ばす。第1章で見た構造が、そのまま数字に出ています。決算ごとに民間の成長率が鈍化していないかを真っ先に確認するのがコツです。
契約の「未来」を映す ― TCVと大型契約

当期の売上は「過去の結果」です。これから何が売上になるかを知りたいなら、契約系の指標を見ます。
- TCV(契約総額):これから売上になる契約の総額。直近の四半期では前年比138%まで伸びている
- RDV(残存契約額):まだ売上計上されていない契約の残り。これも100%超で増えている
もう一つ、第3章で見た大型契約の件数(100万ドル・500万ドル・1,000万ドル以上)も、land-and-expandが効いているかの確認に使えます。これらが伸びていれば、来期以降の売上に厚みがあると読めます。
顧客数と「1社あたり単価」の関係

顧客数も重要ですが、見方にコツがあります。パランティアの顧客はある時期の849社から、足元では全体で1,700社を超えるまで増えました。
ここで効くのが、第3章のland-and-expandです。売上の伸びが顧客数の伸びを上回っているとき、1社あたりの契約単価が上がっていると読めます。たとえば民間部門で顧客数が約42%増、売上が133%増なら、その差分が単価上昇です。
顧客数より売上の伸びが大きい。これは「新しい客を増やしながら、既存の客一社あたりも深掘りできている」サインです。
財務の盤石さ ― 無借金・現金・キャッシュフロー

成長株は財務が脆いことも多いですが、パランティアはここも堅い。
- 無借金:借入れがない
- 潤沢な現金:現金と米国債を合わせて約80億ドルを保有
- フリーキャッシュフロー(自由に使える現金):調整後で年40億ドル規模を見込む
これだけの現金があると、運用益も得られ、買収もできる。成長と財務の安全性を両立している点は押さえておきたい強みです。
ガイダンスの見方 ― 株価はここで動く

最後に、会社が示す将来の業績見通し(ガイダンス)です。市場はこのガイダンスを基準に株価を評価するため、決算の数字そのものより株価を動かすこともあります。
パランティアで特に注目されるのは民間部門のガイダンスです。直近では「少なくとも年120%超の成長を維持する」という見通しを出しています。当期だけでなく年間を通して高成長を続けられるかを会社自身が示している点が評価されています。
まとめ ― 決算チェックリストと、次に読むべきこと
パランティアの決算が出たらこの順番で見れば十分です。
- 米民間部門の成長率は鈍化していないか
- TCV・RDV・大型契約の件数は伸びているか(未来の売上)
- 売上の伸びが顧客数の伸びを上回っているか(単価上昇)
- 無借金・現金・キャッシュフローは厚いままか
- 民間部門のガイダンスはどう示されたか
数字の読み方が分かったところで、次章ではその数字を生んでいる実際の導入事例を一気に見ていきます。住宅ローン審査が2か月から2日に、海軍のスケジュール作成が160時間から10分に——「秒・日単位への短縮」という共通パターンが見えてきます。
どの指標を最優先で見るか、私自身がどこに重みを置いて判断しているかは、メンバーシップでより具体的に共有しています。決算速報はチャンネルでも随時取り上げます。
