【決算速報】Intel Q2 2026|過去最高の決算が一晩で売られた理由

こんにちは!迅です!

Intelはパソコンやサーバー向けの半導体を設計し、自社工場で製造する会社です。設計だけを担う企業や、製造だけを請け負う企業と違い、製品開発から量産までを社内に持ちます。主力は中央演算処理装置ですが、データセンター向け製品、特定用途の半導体、他社のチップを製造する受託事業にも広げています。決算では製品の売上だけでなく、工場への投資が利益と現金をどれだけ使うかが重要です。損益と資金繰りで景色が変わる会社です。

過去最高の決算が、一晩で売られました。

7四半期連続で予想を超え、15年以上で最も強い売上成長。それでも株価は下がっています。数字とマーケットの評価がずれたときはたいてい損益計算書に出ていないところに理由があります。今回もそうでした。

3行にすると売上成長は15年以上で最も強く、財務予想の超過は7四半期連続データセンター事業の売上は63億ドル、営業利益率は39.5%まで改善一方で調整後フリーキャッシュフローは84億ドルの赤字。市場が売った理由はここです
この記事の流れ(全8章・約6分)
データセンター売上63億ドル+59%
前年同期と比べる
データセンター売上+59%
63億ドル
前年同期今回
指標今期判定
データセンター売上(DCAI)約39.6億ドル63億ドル59%増
DCAI営業利益率16.1%39.5%23.4ポイント改善
営業損益営業赤字28億ドルの黒字黒字転換
ASICランレート約12億ドル約20億ドル前年比で約3倍
※ ASICランレートのみ前四半期との比較。他は前年同期比。
2026年4〜6月期 / Intel63億ドルまでデータセンターが伸びた1年前は約39.6億ドル。営業利益率も16.1%から39.5%へ。
図 12026年4〜6月期 / Intel1年前は約39.6億ドル。営業利益率も16.1%から39.5%へ。

抑えておきたいCEOの発言

リップブー・タン CEO(Intel)リップブー・タンCEOは2026年7月の決算説明会で、財務予想の超過が7四半期続き、15年以上で最も強い売上成長が出ていると話しています。2026年7月 決算説明会 冒頭

1年前に営業赤字だった損益が、粗利率41.8%・営業利益28億ドルまで戻りました。

ここがポイント

超過の主因は価格でも一時要因でもなく、出荷量です。

15年ぶりの成長率──7四半期連続ビートの中身

1年でここまで戻した今期見方粗利率41.8%回復営業損益28億ドルの黒字1年前は営業赤字財務予想の超過7四半期連続継続中
図 21年でここまで戻した売上成長は15年以上で最も強い水準です。

タンCEOがコール冒頭で示したのが「財務予想の超過はこれで7四半期連続。今、15年以上で最も強い売上成長を見ている」という基調です。1年前に営業赤字だったP/Lが、粗利率41.8%・営業利益28億ドルまで戻りました。ビートの主因は価格でも一時要因でもなく、出荷量(供給側の改善)です。

前提にあるのが供給制約です。先端ロジックのウエハ、メモリ、基板が同時に逼迫しており、CEO自身が「業界史上、最も深刻な供給制約のひとつ」と表現しました。x86・先端パッケージング・米国ファウンドリ網を一社で持つIntelが、この逼迫の受益者側に立つ。これが強気の理屈です。

主役はDCAIとASIC──売上の7割がAI駆動に

売上の7割がAI駆動に今期判定DCAI 売上約39.6億ドル63億ドル+59%DCAI 営業利益率16.1%39.5%23.4pt改善ASICランレート約12億ドル約20億ドル約3倍
図 3売上の7割がAI駆動に超過の主因は価格でも一時要因でもなく、出荷量です。

データセンター事業DCAIが売上63億ドル(前年比+59%)、営業利益率は1年で16.1%から39.5%へ改善しました。もう一つの注目がカスタムチップ(ASIC)です。ランレートは前四半期の約12億ドルから約20億ドルへ、前年比では約3倍。タンCEOがこの市場を「1,000億ドル規模のTAM」と言い切り、Broadcom・Marvellが先行してきた市場に「設計から製造まで一気通貫」という武器で入ってきました。

プレゼンの強気、Q&Aの本音

同じ決算を、3者がどう語ったかプレゼンの強気公式の説明売上成長は15年以上で最強7四半期連続で予想超過Q&Aの本音質疑で出たこと2026年のCapExを200億ドル超へ2027年は「大幅に上回る」ウォール街評価は割れた利益は戻ったただし現金は出ていく
図 4強気と本音のあいだCFOは支出をさらに増やすと宣言しました。利益が戻ったことと、これから出ていく現金は別々に見ます。

メンバー動画の核心部分です。プレゼン部の「良い話」に対して、Q&Aでは違う顔が見えました。UBSのアーキュリが「供給がQ3末に立ち上がるなら、Q4は需要に追いつくのか」と踏み込むと、ジンズナーCFOの答えは「追いつけない。Q4でも需要に対して遅れたままになる」。バンク・オブ・アメリカのアーリヤが求めた外部ファウンドリ顧客の発表については名前も時期も出ませんでした。翌日の市場が反応したのはこちら側です。

キャッシュで見るIntel──利益は出た、カネは出ていく

利益は出た。カネは出ていく金額向き営業キャッシュフロー+70億ドル入ってきたパートナー拠出金▲122億ドル出ていった調整後フリーキャッシュフロー▲84億ドル差し引きで赤字
図 5利益と現金が別方向を向いているパートナー拠出金は工場拡張の共同出資スキームに絡むキャッシュアウトです。利益が戻っても現金は出ていきます。

P/Lだけ見れば復活ですが、キャッシュフローには別の顔があります。営業キャッシュフローは+70億ドル。それでも調整後FCFは▲84億ドルです。効いているのがパートナー拠出金の▲122億ドルで、工場拡張の共同出資スキームに絡むキャッシュアウトです。そのうえでCFOは2026年のCapExを200億ドル超へ増額し、2027年は「大幅に上回る」と宣言しました。GAAP純損失110億ドルの主因になった米商務省エスクロー株の評価損とあわせて、「国策企業としてのコスト」が数字に出始めています。

ウォール街の評価は割れた

決算後、目標株価はほぼ全社が引き上げました。それでもレーティングは中立圏のままです。象徴がJPモルガンで、目標株価を45ドルから85ドルへ大幅に上げながら、判断はUnderweightを維持。モルガン・スタンレーも「ファウンドリへの確信は低い」と書きました。数字は認めた、物語はまだ信じていない。これがウォール街の現在地です。

僕はこう見ています

この決算の読みどころは「利益は出た、カネは出ていく」という一点に尽きます。損益計算書は戻りましたが、キャッシュフローで見ると景色が違う。ウォール街の評価が割れたのも、どちらの数字を見るかで結論が変わるからです。好決算で株が下がったときはほぼ必ずこのパターンだと思っておくと迷いません。

次に見ておきたい数字

次に見ておきたい数字ファウンドリ赤字率の傾き▲71.7%→▲36.2%と来た改善が続くかASICランレートの継続性約20億ドルの次と、2社目の顧客名キャッシュの外部依存度パートナー拠出金と政府インセンティブ
図 6次に見ておきたい数字

次の決算

僕が次の決算まで見るのは3つだけです。①ファウンドリ赤字率の傾き(▲71.7%→▲36.2%と来た改善が続くか)、②ASICランレートの継続性(約20億ドルの次と、2社目の顧客名)、③キャッシュの外部依存度(パートナー拠出金と政府インセンティブ)。14Aの量産は2028年。それまでの2年間をこの3つの数字で検証していきます。詳細の解説はメンバー限定動画で行います。

本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。数字の出典:Intel Q2 2026 Earnings Deck・Prepared Remarks(Intel IR)・決算説明会Q&A(Investing.com記録)・Benzinga他(2026年7月24日)。為替換算が必要な場合は1ドル=164円(2026年7月25日時点)を使用しています。

※本記事は情報提供・教育を目的としており、個別銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の数値・計画・提携内容は発表後に変更される可能性があります。投資の判断はご自身の責任でお願いします。

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